
「ビーツってなに?」から、「毎日食べたい!」になるために。
ヨーロッパでは古くから「食べる輸血」と呼ばれてきたビーツ。日本でも、ウクライナ料理のボルシチや、サラダ、スムージーなどに登場するようになりました。見た目はカブのようでいて、味わいは、トウモロコシのようにほんのり甘く、栄養価は抜群。この記事では、ビーツ専門店だからこそわかるビーツの基本から、選び方、保存、調理法、さらには世界各国の食文化での役割まで、深掘りしてご紹介します。
目次|ビーツを知る、味わう、楽しむための7つの視点
1.ビーツの主な栄養素
2.旬と産地
3.豆知識|ビーツって、こんなに奥深い
4.おいしいビーツの選び方|味は“色・重さ・サイズ”で決まる
5.保存方法|甘みと鮮度を守るための3つの鉄則
6.下ごしらえと調理法|“赤を逃さない”プロのテクニック
7.世界の食文化とビーツ|ひと皿で旅するビーツの魅力
▲採れたてのビーツはこんな感じ!
1. ビーツの主な栄養素
ビーツはとても栄養が豊富な野菜の一つです。「食べる輸血」と呼ばれるのは、血を作るために必要な鉄や葉酸といった栄養素がたくさん入っているからでもありますが、血管を膨らませ、酸素を運びやすくする硝酸塩や、むくみの予防や血圧を安定させる効果があるカリウムも成分も含まれていることがその所以です。まずはどんな栄養素が含まれているかをご紹介します!
栄養素 | 効果/効能 | ビーツ100gあたりの栄養素 | 他の野菜との比較 |
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葉酸 | 妊娠期の女性に不可欠。血液をつくる。 | 110.0 µg | トマトの5.0倍 |
カリウム | むくみの予防、血圧の安定。 | 380.0 mg | レタスの1.9倍 |
食物繊維 | 腸内環境を整え、便通をサポート。 | 2.5 g | なすの2.3倍 |
硝酸塩 | 血管を拡張し、血流を改善。持久力アップにも。 | 250.0 mg | にんじんの2.5倍 |
ベタシアニン | ポリフェノールの一種で抗酸化作用あり。赤紫の色の正体。 | 2.1 g | 他の野菜は含まず |
パントテン酸 | エネルギー代謝を助け、疲労回復をサポート。 | 0.15 mg | キャベツの1.7倍 |
ラフィノース | 腸内細菌の栄養源となるオリゴ糖の一種。腸内環境を整える。 | 0.25 g | きゅうりの2.3倍 |
ベタイン | 髪や肌の潤いを保つアミノ酸の一種 | 128.0 mg | ほうれん草の2.1倍 |
鉄 | 赤血球を作り、貧血予防に役立つ。 | 0.8 mg | キャベツの2.0倍 |
※文部科学省.「日本食品標準成分表(八訂)増補2023年」他。他の出典はページ下部参照
とにかく栄養価が高い!ことをわかっていただけたのではないでしょうか。ビーツは1個で300g程度あるため、1個のビーツを食べるだけでも、こんなにたくさんの栄養を摂れるのはとても嬉しいですね。もちろん、一つ一つの栄養素を見ると、ビーツより栄養素が高い野菜はありますが、総合的に摂れるのがとても魅力的だと思っています。
ポイント
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ビーツは葉酸、硝酸塩、ベタインなどをバランスよく含む、総合的に優れた栄養野菜。
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スポーツ栄養の分野でも注目されており、持久力向上や筋肉疲労回復への効果が期待されている。
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一つの野菜で複数の機能性成分を効率よく摂取できる。
2. 旬と産地|日本でも広がるビーツの栽培
ビーツは、地中海沿岸や西アジアを原産とするヒユ科の根菜で、発芽時は冷涼な気候を好みます(ヒユ科は、ほうれん草と同じ類です!)。現在ではヨーロッパやロシア、アメリカなどで広く栽培されており、そうした地域では夏の1回の収穫が一般的です。これは、比較的涼しい気温のなかでゆっくりと根を育て、糖分と色素を蓄える性質によるものや、冬の雪で栽培できないなどの気候条件によるものです。
一方日本では、6〜7月と11〜3月の年2回の収穫が可能です。実際に、熊本県や長野県、兵庫県や埼玉県、京都府などでは夏どり・秋冬どりの両方が行われており、安定した通年出荷にも対応しつつあります。
一方、北海道や標高の高い冷涼地では、積雪や気温の影響から夏どりのみの「年1回収穫」が主流です。
↑僕らのビーツを栽培している様子(兵庫県・朝来市)
時期 | 主な産地 |
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6〜8月、11〜3月 | 北海道・熊本県・兵庫県・長野県・埼玉県など |
近年では農薬や化学肥料をできる限り使わず、環境に配慮した栽培を実践する農家が全国に広がってきています。トマトやじゃがいもネギなどに比べると、マイナーな野菜のため、使用可能な農薬の規定がなく、また比較的に病虫に強いことから農薬を使わずに作ることが比較的しやすい野菜でもあります。
赤色の鮮やかな見た目とやさしい甘みは、サラダやスープ、スムージーなど多彩な料理で活躍し、自然食品店や飲食店、マルシェなどでも注目度が上昇中です。
ポイント
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日本では地域ごとの気候を活かし、夏と冬の年2回収穫が可能(北海道など冷涼地は年1回)。
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病虫害に強く、使用農薬が少ないため、環境に配慮した栽培が広まりつつある。
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マルシェや飲食店でも注目されている食材。
3.豆知識|ビーツって、こんなに奥深い
「ビーツ」と聞いて思い浮かべるのはなんでしょうか? 真っ赤な色?それともあまりイメージはない?この野菜には、見た目のインパクトをはるかに超える奥深さがあります。色、名前、歴史、そして文化。まるで一本の物語のように、ビーツの世界は広がっています。
色のバリエーションは、料理の発想を変える
ビーツといえば赤——そう思われがちですが、実際には黄色、白、縞模様のものまで多彩な品種が存在します。たとえば「ゴールデンビーツ」は、甘みが穏やかでクセが少なく、色移りしにくいのが特長。ミシュラン星付きのレストランでは、この色の違いを活かして、一皿の中に3種のビーツを組み合わせるという使い方もしたりしています。まるでパレットのような野菜。それが、ビーツです。とはいえ、個人的には、赤いビーツ「デトロイトダークレッド」が、ビーツらしい土っぽさと、しっかりとした濃厚な甘味があって好きです。
和名は火焔菜(かえんさい)
江戸時代に日本に入ってきた際には「火焔菜(かえんさい)」と呼ばれていました。由来は、その鮮烈な赤。その名からは、見る者の記憶に残る“強さ”が感じられます。「名づけは物語の始まり」とも言われますが、ビーツの別名にも、その存在感が宿っていたのです。ちなみに、江戸時代は観賞用として楽しまれていたそうです。
紀元前から人々の健康を支えてきた
ビーツのルーツは、地中海沿岸から西アジアにかけての乾燥地域。最初に人の手で育てられたのは約3000年前。古代ギリシャでは葉が珍重され、根の部分は神々への供物にされたといいます。古代ローマ時代には食用・薬用として使われていたとか。その後、ヨーロッパの涼しい地域へと広まり、北欧や東欧の食文化に深く根付いていきました。
ヴィクトリア朝時代の英国では、ビーツの赤は「天然の化粧品」。ビーツジュースを頬紅、リップ、髪染めとして女性たちの間で使われていたそうです。天然由来の美しい色は、今もオーガニックコスメや布染めなど、さまざまな分野で応用されています。
ポイント
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赤だけでなく黄色、白、縞模様など、色のバリエーションが豊富で、料理の発想を広げてくれる。
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日本では「火焔菜(かえんさい)」と呼ばれ、江戸時代は観賞用として親しまれていた。
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古代ギリシャ・ローマでは薬用、ヴィクトリア朝の英国では化粧品としても使われていた。
4.おいしいビーツの選び方|味は「色・重さ・サイズ」で決まる
果物に「完熟」があるように、ビーツにもまた、「おいしさが宿る瞬間」があります。その瞬間を逃さず見つけることができると、食卓での感動もひと味違います。ここでは、スーパーの棚やファーマーズマーケットで出会ったビーツから、「これは美味しい」と思えるものを見分けるポイントをご紹介します。
①表面の「ツヤ」
基本採れたてが美味しいです。ビーツは収穫された瞬間から水分をゆるやかに失っていきます。だからこそ、表面にほんのりとツヤが残っているものは、鮮度の高さのサイン。日本では綺麗に洗われたビーツがよく流通していますが、土付きの方が、保存状態もよかったりします。ちなみに、葉付きのビーツも売っていますが、養分がどんどん葉っぱに取られ、実の部分の劣化が早まるため、購入後は葉っぱと実を分けて保管するのがオススメです!
▲ツヤのあるビーツ
▲芽が出てきているビーツは収穫から時間が立っていることを意味しますが、食べられます!
②手に持ったときの「重み」
ずっしりとしたビーツは、しっかりと中身が詰まっている証拠。軽いものは内部に空洞ができていたり、乾燥が進んでいることも。また硬さも大切です。ぷよぷよして柔らかくなっているビーツは収穫から時間が立っていることを意味して、あまり美味しくありません。
▲「重み」は単に大きいものという意味ではなく、その大きさに対してのずっしり感です。この画像のビーツで一番美味しそうなのはどれかわかりますか?パッと見では難しいですが、真ん中の小ぶりなビーツが、ツヤがあり、しっかりしてそうですね。
③「濃い赤色」が、美味しさの証
ビーツの魅力は、その美しい赤紫色にあります。けれど、すべての赤が同じではありません。深く、濃い赤色のものが、甘みと深みがあり、おすすめです。
逆に、色がまだらだったり、明るい赤や白色の場合は、あまり美味しくないものが多いです。甘みが抜けていたり、生育不良だったりします。これを見分けるためには根本の部分を見たり、切ったりするとよくわかります(なかなかスーパーではしづらいですが)。
▲ヘタを切ったときの色合い。左側の方が色が濃くて美味しそうですね。
④欲張らないこと
ビーツは、大きすぎると筋張って食感が悪く、小さすぎると甘みが足りないことも。直径7〜8cm前後の、手のひらにしっくりと収まるサイズが当たりが多くて、最も味・食感・火の通りのバランスがよく、おすすめです。それよりも小さいサイズで美味しいものもたくさんありますが、皮を剥いたりする手間を考えると、7〜8cmくらいのサイズが美味しさと利便性的にベストだと思っています。
専門的な話になりますが、大きいビーツは、窒素肥料を多く入れることで作ることができます。しかし、窒素過多の状態は土壌の健康性を妨げる可能性があるのと、美味しさの観点からすると、味が薄くなる印象があり、個人的には大きさ重視の栽培方法では、いいビーツが出来づらいと思っています。
ちなみに、形は綺麗な丸型から細長いもの、凸凹しているものがありますが、あまり品質(美味しさ)には影響しないです。土の状態で成長しやすい形になっていたり、小さいときに虫に食われた部分を自己修復して凸凹になっていたりするだけです。
▲左に比べて、右のビーツの方が色が濃いです。右の方が美味しい傾向にあります。
▲右のビーツのサイズはこんな感じ
▲表面が凸凹していても、中身は立派です。
ポイント
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表面に自然なツヤがあり、手に持ったときにずっしり重いものが新鮮で美味しい。
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色が濃く鮮やかな赤は甘みと栄養の証。明るすぎる赤やまだら模様は避けたほうがよい。
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直径7〜8cm程度が味と扱いやすさのベストバランス。形は美味しさにあまり関係しない。
5. 保存方法|甘みと鮮度を守るための3つの鉄則
冷蔵庫の野菜室が、ビーツの定位置
ビーツを買ってきたら、まずはポリ袋に入れて、野菜室へ。そのまま裸で置くと、表皮からゆるやかに水分が抜けていきます。そして水分とともに、甘みも、風味も、少しずつ消えていきます。乾燥は、ビーツの最大の敵。を覚えておいてください。
冷蔵保存は「1週間以内」が目安
すぐ食べるのが一番ですが、保存の目安は、冷蔵で約1週間程度。長期保存も可能ですが、どんどん味が落ちていく印象です。ちなみにこの前お会いしたウクライナ人の方は、秋に収穫したビーツを冷蔵庫で保管して、冬の時期に食べるっと言っていました。ちなみに、おがくずと混ぜて長期間保管する方法もあります。
長く使いたいなら、「加熱してから冷凍」
すぐに使わないなら、茹でてから冷凍するのがベスト。下ゆでして皮をむいたビーツをカットし、小分けにして冷凍庫へ。これなら、必要な分だけ取り出して、サラダやスープ、スムージーにすぐ使えます。
ただし、生のまま冷凍するのはおすすめしません。ジャガイモと同じで、解凍したときに食感が崩れやすく、色素や甘みも抜けやすいためです。
ポイント
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保存は必ずポリ袋に入れて冷蔵庫の野菜室へ。乾燥は甘みと風味の大敵。
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冷蔵保存の目安は約1週間。加熱してから冷凍すれば、味と食感を保ったまま長期保存が可能。
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生のまま冷凍すると食感が損なわれやすく、甘みや色素も失われやすいので注意。
6. 下ごしらえと調理法|「赤を逃さない」プロのテクニック
ビーツを調理するとき、「赤色を逃さない」ことを大切にしたいものです。あの深紅の色にこそ、ビーツの栄養も美しさも宿っています。
基本のゆで方
家庭では「ビーツは皮ごと、(もしあれば)茎ごとゆでる」のが良いです。なるべくビーツの赤色をお湯に逃がさないためです。
手順:
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茎と根を2〜3cm残してカット
(切り口が小さいほど、色と甘みが流れ出にくくなる) -
酢かレモン汁を水1Lに対して大さじ1程度加えて火にかける
(酸性の水で煮ることで、色素の安定性が高まる) -
約30分、静かにゆでる。差し水やかき混ぜはNG。
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火が通ったら、冷水にとってから皮をスルリとむく
(ナイフは使わず、指でこするだけ。色素を守る最終ステップ)
あとは好き料理に使っていただけます!
▲ホクホクで美味しそうですね。
オーブン焼き|旨みを「凝縮」
火で煮るのではなく、焼いて蒸らす。料理人はこの方法をよく使っています。ビーツの甘さが水に抜けることなく引き出せるためです。
手順:
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洗ったビーツを皮ごとアルミホイルでしっかり包む
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オーブンを180℃に予熱し、40〜60分焼く(串がスーっと入るまで)
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焼き上がったら、軽く冷まして皮をむく
オーブンの中でビーツは、自分の水分だけで蒸し焼き状態になります。こうすることで、味が濃く、香りが立ち、食感もしっとり。そのままオリーブオイルと塩で食べても、サラダやピュレにしても絶品。
▲オーブンでローストしたビーツ
生で食べる|「しゃきしゃき感」を楽しむ
意外かもしれませんが、ビーツは生でも食べられる野菜です。加熱とはまったく異なる、シャキシャキとした歯ざわりと、ほのかな土の香り(生は土っぽさを感じやすいです)
食べ方のヒント:
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薄くスライスし、塩・酢・オイルで軽くマリネ
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リンゴやオレンジなど酸味のある果物と合わせて
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フェタチーズやミントを添えて「北欧のサラダ」に
ポイント
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基本のゆで方は茎と皮をつけたまま酢を加えた水で30分。赤色を守るためのポイント。
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オーブンで蒸し焼きにすると、甘みと旨みが凝縮され、サラダやピュレに最適。
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生でスライスして食べるとシャキシャキ食感が楽しめる。マリネや果物と合わせたサラダにも◎。
7. 世界の食文化とビーツ|ひと皿で旅するビーツの魅力
ビーツがどこか“異国の味”に感じられるのは、それが単なる食材ではなく、文化そのものを映し出す鏡だからかもしれません。色も、調理法も、味付けも——国や地域によって大きく異なり、そこには「土地の知恵」や「記憶」がしっかりと宿っています。
▲ビーツのオーブンローストと、ラズベリー、クレマの一皿。
料理を知れば、その国がもっとおいしくなる。
世界各地のビーツ料理をとともに旅してみましょう。
地域 | 料理名(現地語/カタカナ) | 料理紹介 |
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ウクライナ | Borscht(ボルシチ) | ビーツを主役にした真紅のスープ。にんじんやじゃがいも、キャベツと煮込む家庭の定番料理。 |
リトアニア | Šaltibarščiai(シャルティバルシチェイ) | ビーツとヨーグルトを合わせた冷製スープ。夏に食欲を呼ぶ、爽やかな伝統料理。 |
ロシア | Vinegret(ヴィネグレット) | ビーツ、じゃがいも、ピクルスを和えたサラダ。酸味と甘みのバランスが絶妙。 |
イタリア | Insalata di Barbabietole(インサラータ・ディ・バルバビエトレ) | ビーツとリコッタチーズのサラダ。オリーブオイルとバルサミコ酢で仕上げるシンプルな一皿。 |
ドイツ | Rote-Bete-Salat(ローテ・ベーテ・ザラート) | 茹でたビーツをスライスし、ビネガーとクミンでマリネ。肉料理の付け合わせにも。 |
中南米(メキシコ) | Ensalada de Betabel(エンサラーダ・デ・ベタベル) | ビーツ、オレンジ、くるみを合わせた華やかなサラダ。彩りも香りも豊か。 |
インド | Beetroot Thoran(ビートルート・トーラン) | ビーツの細切りをココナッツと炒めた南インドの家庭料理。カレーに添える副菜。 |
イスラエル | Beetroot Hummus(ビートルート・フムス) | ひよこ豆のフムスにビーツを加えた前菜。鮮やかなピンク色が食卓を彩る。 |
アメリカ | Beet Chips(ビート・チップス) | 薄切りにしたビーツをオーブンで焼いたスナック。ヘルシー志向の家庭に人気。 |
フランス | Betterave Râpée(ベトラーヴ・ラペ) | 生のビーツを千切りにして、レモンとオリーブオイルで和えたサラダ。前菜の定番。 |
世界のどこかで、今日も誰かがビーツを切っている。スープにする人もいれば、サラダにする人もいる。そこには、“栄養”ではなく、“文化”としてのビーツが息づいています。その土地のビーツ料理を知ることは、その土地の人の“暮らし”を知ることでもあります。
あなたのキッチンでも、ビーツを通してひと皿の“文化交流”を始めてみませんか?
▲ビーツと牛肉をじっくり煮込んだボルシチ。サワークリームが濃厚さを増して、酸味で味を引き締めてくれる。
ポイント
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ビーツはスープ、サラダ、フムスなどとして、世界各国の伝統料理に根ざした存在。
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料理を知ることは、その土地の文化や暮らしを知ることでもある。
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自宅でもビーツを使えば、ひと皿で“食べる文化交流”が楽しめる。
最後に|ビーツをもっと日常に
ビーツは、健康のために仕方なく食べる野菜ではありません。むしろ、日常にちょっとした彩りと発見をくれる、“小さな冒険”のような存在です。
深紅のスープを一口すすると、遠い東欧の食卓が浮かび、薄くスライスしたビーツのサラダを噛みしめれば、野菜というより芸術に近い美しさに出会う。スムージーに溶かせば、甘みの裏にほんのりとした土の記憶が香る。
ビーツは、ただ体を整えるだけでなく、五感を呼び覚ます野菜だと思っています。
忙しい毎日の中で、食事がただのルーティンになっていないでしょうか。もし少しでも「何か変えたい」と思うなら、ぜひ今日の買い物かごにビーツをひとつ入れてみてください。
もし、ビーツの下準備が大変と思われたら、ビーツの水煮を手にとってみてください。すでに加熱済みのためそのままサラダやスープ、スムージーにも使っていただけます。
▲私たちが作っているビーツの水煮は、真空加熱パックしてからボイルするため、栄養素を逃さず、フレッシュな味わいをお楽しみいただけます。
▲ビーツをのせるだけで、簡単にサラダもできます。
話を戻しますが、難しく考える必要はありません。ビーツをゆでる、焼く、スライスする。サラダに混ぜるだけ、スープに沈めるだけ。ほんのひと手間で、あなたの食卓に“ひとさじの驚き”が加わります。
食べることは、生きること。そして、生きることには、驚きと美しさが必要です。ビーツを通してそんなことを感じてもらえたら幸いです。
出典:
<栄養素>
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葉酸/カリウム/食物繊維/パントテン酸/ラフィノース/鉄
文部科学省.“日本食品標準成分表(八訂)増補2023年.” 文部科学省. 2023年.
https://www.mext.go.jp/a_menu/syokuhinseibun/mext_00001.html, (アクセス日: 2025年5月7日) -
硝酸塩
Benjamim, Cicero Jonas R. et al. “Nitrate Derived From Beetroot Juice.” Frontiers in Nutrition. 2022年.
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/35369064/, (アクセス日: 2025年5月7日) -
ベタシアニン
Lidder, S., Webb, A. J. “Beetroot as a functional food.” Journal of Food Science and Technology. 2021年.
https://www.mdpi.com/2304-8158/13/5/691, (アクセス日: 2025年5月7日) -
ベタイン
Lee, E. J. et al. “Betalain and Betaine Composition of Greenhouse- or Field-Produced Beetroot (Beta vulgaris L.) and Inhibition of HepG2 Cell Proliferation.” Journal of Agricultural and Food Chemistry. 2024年.
https://www.researchgate.net/publication/259954829_Betalain_and_Betaine_Composition_of_Greenhouse-_or_Field-Produced_Beetroot_Beta_vulgaris_L_and_Inhibition_of_HepG2_Cell_Proliferation, (アクセス日: 2025年5月7日)