
「世界のどこかで愛されている味を、神戸で味わってみませんか?」
そんな問いかけから始まった企画【世界の「ごちそう/おいしい」を食べてみよう!】。
その第一弾として、7月13日、ウクライナの代表的な家庭料理「ボルシチ」を楽しむ会を開催しました。
会場に集まったのは、およそ30名の参加者たち。家族連れ、農家のみなさん、友人同士……年齢も背景もさまざまですが、共通していたのは、「食」を通じて、まだ知らない世界に触れてみたいという気持ち。
会場の扉を開けた瞬間、ふわりと立ちのぼるハーブとトマトの香りに、空気がふっと和らぎます。
この日ふるまわれたのは、ウクライナ出身の料理人・ソフィアさんが手がける、本場仕込みのボルシチ。色鮮やかな朱色のスープには、BETTEのビーツと、兵庫県産のトマトが使用されています。そこに牛肉やキャベツ、にんじんなど、たっぷりの野菜が溶け合い、サワークリームとパセリが香りのアクセントを加えています。ひとくち口に運ぶと、やさしい甘みと酸味、そしてどこか懐かしいような滋味が広がり、思わずため息がこぼれるような味わい。
「ほんとうに美味しい……!」
「野菜のうまみがすごいね」
そんな声があちこちから聞こえてきて、子どもたちもペロリと完食。言葉が違っても、文化が違っても、美味しいものを囲めば自然と笑顔があふれる。食卓には、国境を越える力があると、あらためて感じさせられる光景でした。
ソフィアさんは、ロシアによるウクライナ侵攻を受け、日本に避難してきた一人。現在は神戸で子育てをしながら、少しずつ生活の基盤を築いています。知らない土地で、言葉も文化も異なる中、料理は彼女にとって、きっと「心のふるさと」をつなぐ手段なのだと思います。
「ボルシチは、家族の味なんです。今日は、こうして日本の皆さんにも食べてもらえて、ウクライナのことを知ってもらえて本当にうれしいです」とソフィアさん。
そして、この企画の実現にかかせなかったのは、神戸に避難してきたウクライナ人のための交流拠点「UKRAINE HOUSE KOBE」を運営するみなさんです。日本で暮らすウクライナの方々が孤立せずにいられるよう、言葉や文化の壁を越える居場所をつくり、故郷を知らずに育つ子どもたちのために、歌や踊りなどを通して文化を伝える活動も行っているそう。
「こういったイベントをきっかけに、少しでもウクライナのことを思い出してもらえたら。そして、文化を知ってもらえたらと思います」と、ウクライナハウスのオクサナさんは語る。
今回のイベントは、エム・シーシー食品株式会社、認定NPO法人まなびと、そしてBETTEが共同で開催。
BETTEにとっても、ただ美味しいビーツを届けるだけでなく、その先にある物語や人と人とのつながりを耕していくことは、大きな喜びであり、これからも大切にしていきたいことです。
食べることは、生きること。そして、知ることでもある。
知らなかった国の味を通して、そこで生きる誰かのことを少しでも想像してみる。美味しさの奥にある背景に、そっと耳を傾けてみる。そんな小さな積み重ねが、やがて世界のやさしさを育てていくと、私たちは信じています。
最後に今回の機会を作ることにあたり、ご縁をつなぎ、司会から裏方の調整まで様々な面でサポートしてくださった江副真文さん、そしてウクライナハウスをご紹介くださった岡本さんをはじめとするNPO法人ケアットの皆さんに御礼を申し上げます。
次は、どんな国の「おいしい」と出会えるでしょうか。
BETTEはこれからも、「ビーツ」をきっかけに、まだ見ぬ文化や人々と出会う場を育てていきたいと思います。
イベント概要概要
名称: 世界の「ごちそう/おいしい」を食べてみよう!vol.01 ウクライナ ~ウクライナのボルシチをたのしむ会~
日時: 2025年7月13日(日)11:30~13:30
会場: CAFE & BAR まどゐ (兵庫県神戸市中央区山本通2-3-12 まなびと北野基地)
料金: 大人1,500円(ウクライナの伝統料理・ボルシチ+ワンドリンク付き)
子供 700円 (中学生まで)
定員:先着 20名さま
主催: BETTE/認定NPO法人まなびと/エム・シーシー食品株式会社
協力: UKRAINE HOUSE KOBE
当日参加人数:30名
文章・写真:Nose Nana
